シャルドネの世界|基礎からウクライナ産の逸品までシャルドネ入門
シャルドネ入門
ワイン用のブドウ品種は、世界に300種類以上あると言われています。
そんな数多くあるブドウ品種のなかでも、とくに有名で人気を集めているのが白ブドウ品種「シャルドネ」です。「白ワインの女王」とも呼ばれるほど、世界中で広く栽培され、このブドウ品種から多くの人気ワインが造り出されています。
この記事では、そんなシャルドネの基礎知識を解説し、世界中で愛されている魅力を深掘り。おすすめのウクライナ産シャルドネワインについてもご紹介します。
ワインの味わいを決定する大きな要因であるブドウ品種をよく知り、その特徴をつかめば、ワインの楽しみを大きく広げられるでしょう。
自分の好みのワインを知りたい方や、シャルドネの特徴を整理したい方はぜひご一読ください。
■シャルドネの基本
世界中で広く栽培され、愛されているシャルドネ。
その栽培面積は、ワイン用ブドウ品種のなかで世界5位に位置するほどです(※2017年国際ブドウ・ワイン機構OIV:International Organisation of Vine and Wineのデータより)。
ヨーロッパだけでなく、アメリカやアフリカ、オーストラリアなどの主要なワイン産地のほとんどで栽培されており、日本を含む世界41か国で広く栽培されています。
なかでもフランス・ブルゴーニュはシャルドネの原産地であり、数多くの高級ワインが造られる地域として有名です。
早熟であるシャルドネは、温暖地から寒冷地まで幅広い地域で栽培が可能で、比較的、病害にも強いという特徴をもち合わせています。
シャルドネのルーツは、DNA鑑定により、ピノ・ノワール(赤ワイン用のブドウ品種)とグーエ・ブランの自然交配種として生まれたことがわかっています。
また、シャルドネ(chardonnay)という名前は、原産地であるブルゴーニュ・マコネ地区にある村の名前に由来しています。
(参考:https://www.oiv.int/)
■なぜシャルドネが人気なのか
シャルドネが人気である理由のひとつに、そのポテンシャルの高さが挙げられるでしょう。
シャルドネは味わいに癖がなく、際立った個性がないブドウだと言われます。
しかし、果実味や酸味や構造の強さなど、ワイン用のブドウ品種としての能力は満遍なく高く、活躍の場が広い万能選手でもあるのです。
さらに、ニュートラルな味わいのブドウだからこそ、シャルドネは栽培地の気候風土や醸造技術・道具などの影響を色濃く味わいに反映することが可能。
シャルドネからは、日常のなかで気軽に飲めるデイリーワインから、とくべつな日にぴったりな超高級ワインまでさまざまなワインが造られています。
辛口ワインで名高いシャブリや、ブルゴーニュの高級白ワインであるピュリニー・モンラッシェ、シャンパーニュ地方のブラン・ド・ブランも、シャルドネから造られる人気のワインです。
すっきりとした辛口ワインから、香り豊かな芳醇なワイン、発泡性のあるスパークリングワインなど、さまざまな味わいのワインが生み出され、世界中で親しまれています。
シャルドネの味わいの多様性
「個性がないのが個性」とまで言われるほど、ブドウ自体の味わいはニュートラルなシャルドネ。
しかし、際立った特徴がない分、育った地域の気候条件や土壌の特徴がつよく味わいに反映されます。
栽培地域による風味の違いや多彩な表情を楽しめるのも、シャルドネの魅力でしょう。
■温暖な産地:華やかな果実味が魅力のふくよかなワイン
温かな産地で栽培されたシャルドネは、糖度が高く、ゆたかな果実味を呈するのが魅力です。
完熟したリンゴやマンゴー、バナナなどのトロピカルフルーツの華やかなアロマや甘み、飲みごたえのあるボリューム感、リッチなコクを楽しみたい方は、温暖地域で造られたシャルドネを選んでみてください。
アメリカ・カリフォルニア州のシャルドネワインは、酸味やミネラル感が比較的おだやかで、ふくよかなワインが多いと言われています。
■冷涼な産地:酸味が印象的なエレガントなワインに
涼しい産地で育ったシャルドネは、レモンやライムなどの柑橘系や青リンゴのフレッシュな果実味、ミネラル感、白い花やハーブを想起させるエレガントな香りをもつシャープなワインが多いのが特徴です。
シャルドネワインの最高峰であるフランス・ブルゴーニュ地方のシャブリ地区では、すっきりとした辛口白ワインが数多く造られています。
最高級の辛口白ワインであるモンラッシェも、冷涼な地域の特級畑で育ったシャルドネがつかわれています。
また、スパークリングワインで名高いフランス・シャンパーニュ地方は、シャルドネ産地の北限に位置しています。
めずらしい白亜質土壌と冷涼な気候に恵まれたシャンパーニュ地方で育ったシャルドネは、シャープな酸味とミネラル感が魅力で、上質なスパークリングワインを多く生み出しています。
シャルドネの製造プロセス
テロワールによってさまざまな表情を見せてくれるシャルドネのワインですが、つくり手が選択する醸造・熟成方法やスタイルによっても香りや味わいが変化します。
目指すワインのスタイルによって生産者がえらぶ製造プロセスに注目をして、変幻自在のシャルドネの奥深さを味わってみてはいかがでしょうか。
ここからは、シャルドネワインの魅力を引き出す、醸造技術や熟成方法についてご紹介します。
■シャルドネワインの作り方 ①マロラクティック発酵
シャルドネは、基本的に酸味が強い品種です。そのため、その酸を和らげるためにマロラクティック発酵(MLF : malolactic fermentation)という醸造技術が広くつかわれています。
マロラクティック発酵とは、乳酸菌によってワインの酸味成分のひとつであるリンゴ酸を乳酸に変化させる発酵技術。
マロラクティック発酵を取り入れることで、ヨーグルトや発酵バターなどの乳製品のようなクリーミーさが加わり、やわらかな印象のワインを造り上げられます。
■シャルドネワインの作り方 ②オーク樽熟成
マロラクティック発酵とも相性がよく、セットで取り入れられることが多いのがオーク樽熟成です。
木樽で発酵・熟成させることで香りや味わいに厚みが生まれ、リッチでコクのあるワインができます。
オーク樽のほのかな苦味が加わった濃厚なワインを味わいたい人は、樽熟成の白ワインを選んでみてください。
とくに、新樽での熟成であれば、ヴァニラやトーストの香ばしい香り、ココナッツのような甘い香りやスモーキーなニュアンスを楽しめます。
ただ、一概に樽熟成と言っても、使用する樽の状態によって香りや味わいの深みは変化します。
新樽なのか古樽なのか、樽の内側を焦がしているのか、樽のサイズの大小など、生産者によって異なるさまざまな熟成技術を楽しめるのも樽熟成シャルドネワインの面白さです。
■シャルドネワインの作り方 ③ステンレスタンクでの熟成
ステンレスタンクで醸造・熟成されたシャルドネワインは、樽の香りがワインに移る樽熟成とは異なり、容器による味わいや香りの変化はありません。そのため、ステンレスタンクでの熟成はワイン自体の個性を引き出せる技術と言えるでしょう。
一般的に、シャープでスッキリとした味わいを引き出したいときにはステンレスタンクが使用されます。
■シャルドネワインの作り方 ④長期熟成
長期熟成といえば、赤ワインの熟成をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、構造の強さがあるシャルドネワインも長期熟成と相性が良く、熟成期間が長いほど香りが深まります。
とくに、冷涼地域で育ったシャルドネは酸がつよいため、長期熟成に適していると言われています。
熟成によって、蜂蜜やナッツなどのまろやかな香り、キノコやカフェオレのような複雑なニュアンスが感じられるようになるでしょう。
冷涼地のシャルドネワインの魅力であるフレッシュな果実味は、熟成を経てドライフルーツのようなよりまろやかな香りへと変化します。
ウクライナ産シャルドネ特集
弊店はウクライナ産シャルドネワインを3種取り扱ってます。
ベイクシュの「シャルドネ リザーブ」と、スタホフスキーの「シャルドネ”W”リザーブ」・「シャルドネ”W”」です。香りも味わいもそれぞれ異なった魅力をもつ3本。
シャルドネらしい多彩な表情をお楽しみいただけます。
■シャルドネ リザーブ|ベイクシュ
シャルドネ リザーブは、国際的なワインコンテスト「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards:DWWA)2022」で金賞を受賞した実力派の辛口白ワイン。
当店の人気ランキングでも2位にランクインしています。
樽で長期間熟成されているため、リッチな白桃の果実味にヴァニラやナッツのような樽香をまとっているのも魅力のひとつ。
濃厚でクリーミーなパンチがあるワインです。
ワイナリーのベイクシュは、個人の家をワイナリー兼研究所にリフォームし、手作業でワインを造ることに徹底的にこだわった愛情深いワイナリーで、小規模ながらも国際的に高い評価を受けています。
ベイクシュのブドウ畑は黒海の近くに位置しており、シャルドネリザーブもミネラル感のある一本に仕上がっています。
シャルドネワインのなめらかな舌触りは、チーズやパイなどの乳製品、ナッツや黒オリーブなどのオイリーな一品に絶妙にマッチします。
■シャルドネ”W”リザーブ|スタホフスキー
ピュアで丁寧なつくりが感じられるシャルドネ”W”リザーブ。
20ヶ月樽熟成されていながらも、樽の香りは強すぎず、きめ細やかなタンニンと繊細でバランスの良い味わいが楽しめます。野生の花やメロンのような、ほのかで上品な甘みが魅力の一本です。
シャルドネ”W”リザーブの製造元は、世界的テニスプレイヤーのセルジー・スタホフスキー氏がオーナーを務めるワイナリー「スタホフスキー」。ウクライナで最高のワイン産地の一つであるカルパティア山脈の麓で、最新機器をつかって上質で手頃なワインを造っています。
上品なシャルドネ”W”リザーブには、生ハムメロンやトリュフのリゾットなどの優しい香りを楽しむお料理がマッチします。
魚料理と合わせるのであれば、皮目をカリっと香ばしく焼き上げる鯛のポワレなどもおすすめです。
■シャルドネ”W”|スタホフスキー
シャルドネ”W”リザーブと同じく、ワイナリー「スタホフスキー」で造られるシャルドネ”W”は、柑橘系のさわやかな酸味と熟したアプリコットの味わいが楽しめる一本です。
ザカルパッチャの風景が浮かぶような野生の花々の香りと、ほのかなハチミツの香りが感じられます。
さっぱりとした味わいが楽しめるシャルドネ”W”には、植物系の油をつかった天ぷらやパン粉焼きのお料理が相性抜群。
キノコの天ぷらやカジキの香草パン粉焼きなどと合わせてみてはいかがでしょうか。
食材のうま味にシャルドネの繊細な味わいが自然に寄り添ってくれます。
シャルドネにおすすめのおつまみ
香りや味わいに癖がなく、ニュートラルな魅力をもつシャルドネ。
そんなブドウ品種から造られているシャルドネワインは、どんな料理とも合わせやすいワインです。
そして、産地や生産者、熟成方法によってさまざまな表情を見せてくれるワインでもあります。
ここからは、そんな多彩なシャルドネの味わいをより引き立てる料理をご紹介します。
「栽培地の風土」「マロラクティック発酵の有無」「樽香」など、今回ご紹介したキーワードと合わせて、おすすめのペアリングをぜひチェックしてみてください。
■チーズやバターなどの乳製品の風味がある料理
マロラクティック発酵が施されたシャルドネには、チーズやバターなどの乳製品の風味がある料理を合わせるのがおすすめです。
マロラクティック発酵されたワインは、冷涼地で育ったシャルドネ特有のきりっとした酸がまろやかな乳酸に変化してクリーミーなワインに仕上がるため、乳製品をつかった料理とうまく調和します。
バターやクリームなどをつかったコクのある魚料理や、鶏肉などの白身の肉料理と合わせてみてはいかがでしょうか。
■植物性由来の油をつかった揚げ物や前菜
ピュアで酸味のあるシャルドネには、植物性由来の油をつかった揚げ物や前菜がぴったりでしょう。
スダチやレモンなどの柑橘類をしぼる感覚でシャルドネワインを口に含めば、油っぽい料理もさっぱり味わえ、食材のうま味を堪能できます。
■キノコやナッツなどのまろやかな味わいの料理
熟成期間が長く樽香が感じられるシャルドネには、キノコやナッツなどの濃厚な風味を合わせたペアリングがおすすめです。
ソテーやローストチキン、西京焼きなどの香ばしさや味噌の風味を感じる魚・肉料理とも相性がいいでしょう。風味のマリアージュをお楽しみいただけます。
いかがでしたか?
シャルドネの世界を堪能して、ワインをさらにお楽しみください。
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